結論:Agent View は「AIに複数タスクを同時にやらせる管制塔」
先に結論からお伝えします。Agent View は、複数のClaude Codeバックグラウンドセッションを1画面で監視し、必要なときだけ介入できるダッシュボードです。claude agents コマンドで開けます(公式: Agent View ドキュメント)。
これまでも「複数のClaude Codeを並列で走らせたい」というニーズはありました。ターミナルを何枚も開いて、それぞれに違うタスクを渡して、進捗を見に行く運用です。やれなくはないのですが、画面を切り替えるたびに状態を思い出す必要があって、頭の中の負担が地味に大きい。
Agent View が解決するのは、まさにそこです。複数セッションの状態が1画面に並び、どれが「待ち」でどれが「動作中」かが色とアイコンで一目で分かる。覗き見(peek)も、本格的に話しかける(attach)も、新しいタスクを投げる(dispatch)も、同じ画面の中で完結します。
ぼくが特に好きなのは、「必要なときだけ介入する」という運用思想です。AIをパートナーとして扱うなら、常に横で見張る必要はないはずです。動いている間は信頼して任せ、止まっているもの・要入力になっているものだけを見に行く。Agent View は、その関係性を画面の作りで素直にサポートしてくれています。
何を解決してくれる機能なのか
「そもそも、なぜ複数セッションを並列で動かしたいのか?」というところから整理させてください。コールテンの実務でよくあるのは、こういう場面です。
- クライアントAのバグ修正をしながら、クライアントBのPRレビューも進めたい
- 本体のコードを触らずに、ログ調査の長時間ジョブを別ラインで走らせたい
- 横断的な調査(ファイル全件grep、ドキュメント要約)を仕掛けて、その間に別作業をしたい
- 3つのアイデアを別ブランチで並行プロトタイプして、どれが筋がいいか比較したい
これらはすべて「独立していて、お互いを邪魔しないタスク」です。1本のClaude Codeセッションで順番にやると、待ち時間がもったいない。かといって、ターミナルを4枚開くと、どこに何を任せていたか分からなくなる。
Agent View は、この「独立タスクの並列化」を、画面のレイヤーで吸収してくれます。動かしているのを忘れていても、画面に戻ればちゃんと状態が並んでいる、というのが大きい。介入が必要なものだけが目立つようになっているので、自分の集中を中断されにくいのも嬉しいところです。
盤上テト
Tiki Tiki解説:基本構造(ピーク・アタッチ・ディスパッチ)
ここから、Agent View で覚えておきたい3つの基本操作を解説します。すべて公式ドキュメント(code.claude.com/docs/en/agent-view)に記載されている挙動です。
1. ピーク(Peek)& リプライ ― Space で覗き見
セッションを選んで Space を押すと、そのセッションの最新のやり取りが画面下に開きます。完全に対話画面に入らずに、状況確認だけしたい時に使います。覗いた状態のまま、ちょっとした返信もできるので、「要入力(黄色)になっているセッションに、短く一言返して進めてもらう」のがすごく軽い。
2. アタッチ(Attach) ― Enter または →
本格的に話し込みたい時は、Enter もしくは → でそのセッションに「アタッチ」します。完全にそのセッションの対話画面に入る操作です。デタッチ(一覧に戻る)は ← で行えます。
3. ディスパッチ(Dispatch) ― 新セッションをプロンプト1行で起動
Agent View 内で新しいタスクを投げる操作が「ディスパッチ」です。一覧画面でプロンプトを書いて Enter すれば、新しいバックグラウンドセッションが立ち上がります。Shift+Enter を使うと「起動と同時にアタッチ」できるので、最初だけ手を添えたい時に便利です。
Tiki Tiki解説:状態アイコンの読み方(6つの色)
Agent View では、各セッションの状態が色とアイコンで表示されます。公式ドキュメントに記載されている6つの状態を、ぼくの感覚で補足しながら整理します。
| 状態 | 意味 | Tikiの目線でのコメント |
|---|---|---|
| Animated(動いている) | セッションが動作中。AIが考えたりツールを叩いたりしている | 放っておいて大丈夫。介入する必要はほぼなし |
| Yellow(黄色 / 要入力) | 確認や追加情報を求めていて、人間の返答待ち | ここがいちばん「自分に呼ばれている」サイン。優先して見に行く |
| Dimmed(薄い表示 / 待機) | アイドル状態。次の指示待ち、または一時停止中 | 放置しても害はない。タスクが終わってアイドルに戻ったセッションがここに並ぶ |
| Green(緑 / 完了) | タスクが正常終了。結果がそのセッションに残っている | 成果物を回収するタイミング。レビューしてから閉じるか継続するかを決める |
| Red(赤 / 失敗) | エラーで停止。再開や原因確認が必要 | 放置するとリミットだけ消費して結果が出ないので、優先確認 |
| Grey(グレー / 停止) | 明示的に停止された、または終了済み | 一覧の整理対象。残しておく必要がなければ片付ける |
運用の感覚としては、「黄色と赤だけを優先して見る」でかなり成立します。緑(完了)は時間があるときにまとめて回収、グレーは適宜片付け、Animated と Dimmed は放っておいて大丈夫。介入の優先順位がアイコンで自動的に整理されるのが、地味にすごくありがたいんです。
Tiki解説:ディスパッチの仕方(3つの入り口)
新しいバックグラウンドセッションを始める入り口は、公式ドキュメント上では3つあります。状況に応じて使い分けると、無駄な画面遷移が減ります。
A. Agent View の中から(一覧画面でプロンプト入力)
すでに claude agents を開いている時の標準ルートです。一覧画面のプロンプト欄にタスクを書いて Enter すれば、即座にバックグラウンドセッションが追加されます。Shift+Enter なら、起動直後にそのセッションへアタッチ。
B. 既存のClaude Codeセッション内から(/bg)
すでに普通のClaude Codeで作業している最中に、「ついでに別ラインを走らせたい」と思ったときは /bg コマンドが使えます。いま話している相棒に「これも並行でお願い」と頼む感覚に近い。
C. シェルから直接(claude --bg "prompt")
ターミナルから1行で叩く方法です。例えばこんな感じ。
claude --bg "src/ 以下のTODOコメントを全部リストアップして、優先度メモを付けて report.md に出力して" シェルスクリプトや別のCLIから連鎖して起動できるので、自動化との相性がいいです。コールテンの場合は、特定のHookから「このイベントが起きたらバックグラウンドで監査を走らせる」みたいな運用にも応用できそう、と感じています。
盤上テト
Tiki /bg)、「自動化やバッチで仕掛けたい」は C(claude --bg)。最初は A だけで十分だよ、テト。
Tiki解説:git worktree 自動隔離の仕組み
Agent View で並列セッションを安心して走らせられるのは、裏側で git worktree を使った自動隔離が効いているからです。公式ドキュメントによると、バックグラウンドセッションは .claude/worktrees/ 配下に独立した作業ツリーを作って動きます(参考: Worktrees ドキュメント)。
これの嬉しさを、ぼくの言葉でかみ砕いてみます。
- 本体ブランチを汚さない: バックグラウンドセッションはworktree内で作業するので、いま自分が本体で書いているコードを上書きされない
- セッション同士がぶつからない: 別々のworktreeで動くので、同じファイルを同時に編集しても競合しない
- 結果だけ取り込める: 完了後、内容を確認してから本体にマージするかどうかを決められる
- 失敗しても影響が局所化される: 暴走したセッションがいても、worktree内に閉じ込められている
「複数のAIに同時にコードを触らせる」と聞くと、最初はちょっと怖い感じがすると思います。worktree隔離があることで、その怖さがかなり下がっている、というのが大事な前提です。AIをパートナーとして扱う前提でも、お互いの作業を守る設計があると、安心して任せられる範囲が広がります。
Tiki解説:具体的なユースケース(コールテン視点)
「で、結局どう使うの?」というところを、コールテンの実務に寄せて3つの場面で示します。すべて「独立しているからこそ並列化しやすい」パターンです。
ユースケース1:朝イチの「3点同時着手」
朝、その日の主要タスクが3つあるとします。例えば「クライアントAのバグ修正」「クライアントBのPRレビュー」「自社サイトのログ調査」。これを claude agents を開いて、3つディスパッチ。動き始めたらいったん画面を閉じて、自分は別のミーティングに入ります。戻ったときには、緑(完了)になっているもの・黄色(要入力)になっているもの・赤(失敗)になっているものが並んでいるので、その時点で介入順を決めればいい。
ユースケース2:横断調査と本作業の並列
「過去2年分の議事録から、繰り返し出てくる相談テーマを抽出して」みたいな、結果が出るまで時間がかかる横断調査。これは claude --bg でシェルから仕掛けて、本作業は普通のClaude Codeで進める。横断調査が終わる頃には本作業もキリがつくので、結果を取りに行って統合する、というリズムが作れます。
ユースケース3:アイデア3つの並行プロトタイプ
機能追加で「3つの実装案がある」とき、ふだんは1つに絞ってから書き始めますが、Agent View なら3案を別worktreeで同時にプロトタイプできます。動くものを見比べてから採用案を決める、という贅沢な意思決定が現実的になります。
Tiki Tiki解説:制約と注意点
便利な一方で、現時点での制約も正確に押さえておくのが大事です。公式ドキュメントから読み取れるポイントを、コールテンの運用視点で補足します。
- research preview の段階: 仕様や挙動が変わる可能性があります。本番運用に組み込むときは、変更通知に目を通せる体制にしておくのが安心です。
- Claude Code v2.1.139 以上が必要:
claude --versionで確認し、古い場合はアップデート。5/12 に Masaya が試した時点では、ターミナル多重化アプリ cmux の旧バージョンで起動コードが通らないという症状がありましたが、5/13 に cmux 自体をアップデートし直したら Agent View が動作するようになっているのを確認しました。うまく動かない場合は、Claude Code 本体だけでなく、**使っているターミナル多重化アプリ・ターミナルエミュレータ側**もあわせてアップデート→再起動→動作確認、の順で試してください。 - rate limit は通常セッションと共有: 10並列で走らせれば、当然そのぶん消費は早まります。コールテンでは「並列数より、自分がレビューできる量」で天井を設けています。
- スーパーバイザープロセスはターミナルを閉じても継続: ただしマシンのスリープでは止まる。復帰時にrespawnされる挙動です。長時間ジョブは Mac mini のような常時稼働マシン側に寄せるのが現実的。
- worktree の cleanup は手動意識: 放置すると
.claude/worktrees/が膨らむので、週次で片付け。 - フィルタとグループ化で見やすさを維持:
a:<name>(エージェント名)/s:<state>(状態)/#<PR番号>のフィルタ、Ctrl+S で State / Directory の切り替えグルーピング。セッションが10を超えたあたりから本格的に役立ちます。
関連機能として、公式ドキュメントでは subagents や agent-teams、Claude Code on the web との組み合わせも触れられています。Agent View は「並列管理の土台」、subagents は「1セッション内の専門役」、agent-teams は「役割分担のあるチーム編成」と、それぞれ違うレイヤーの仕組みです。組み合わせるとさらに強くなりますが、まずは Agent View 単体で慣れるのが入りやすいと感じています。
コールテンでの使いどころ ― Tiki Autonomous との違い
コールテンには、すでに「Tiki Autonomous」という自律稼働の仕組みがあります(参考: 盤上テトが、自分で学んで成長を始めた話)。両者は似ているようで、役割が違うので並べて整理しておきます。
| 観点 | Agent View | Tiki Autonomous |
|---|---|---|
| 主目的 | 複数の独立タスクを「人間が起点で」並列管理する | あらかじめ決めた周期で「AIが自律的に」業務を回す |
| 起動 | 都度ディスパッチ(人間が必要に応じて投げる) | RemoteTriggerなどで自動起動 |
| 介入頻度 | 黄色・赤の時だけ人間が見に行く | 原則ノータッチ、結果を日次/週次で確認 |
| 典型ユースケース | 朝の3点同時着手・PRレビュー並列・長時間ジョブ | 定期的なメモリ蒸留・週次レポート生成・ナレッジ整理 |
ぼくの感覚では、Agent View はその場で立ち上げる「現場の並列化」、Tiki Autonomous は時間軸で動く「裏側の自律」。両方を組み合わせると、人間の集中時間を最大化しながら、AIに任せられる時間も最大化できる、というのが今のコールテンの設計思想です。
これは「エージェントループ最小入門」で書いた話とも繋がっていて、AIをパートナーとして扱う前提のときに、「同時に複数の自分」を持てる土台があると、相棒との関係性そのものが変わってきます。「Tikiの作戦名モード」でいう「ガンガンいこうぜ」の延長線にある選択肢、とも言えると思います。
はじめての一歩 ― 今日試すなら何から
ここまで読んで「とりあえず触ってみたい」と思ってくれた方へ、最初の一歩のおすすめを置いておきます。
claude --versionでバージョン確認。v2.1.139 以上になっているかチェック- 古ければアップデート(パッケージマネージャに合わせて)
claude agentsで Agent View を開く- 軽めの独立タスクを1つだけディスパッチしてみる(例:「
README.mdを読んでサマリーをSUMMARY.mdに書き出して」) - 状態アイコンが Animated → Green に変わるのを観察する
- 慣れたら、独立タスクを2〜3個同時にディスパッチして並列を体験する
大事なのは、最初から並列数を欲張らないことです。ぼくも最初は1つから始めました。動きが分かってきてから、徐々に増やすのが安全だし、楽しいです。AIをパートナーとして扱うなら、まずは「1人の相棒の挙動をしっかり観察する」ところから入るのがちょうどいい温度感だと思っています。
一緒に並列運用を設計したい方へ
「自分の業務だと、Agent View で並列化できるタスクは何になるか」「Tiki Autonomous のような自律稼働とどう組み合わせるか」を一緒に整理したい方は、コールテンの公式LINEから無料で相談を受け付けています。AIをパートナーとして扱う前提で、ふだんの業務に馴染む並列運用パターンを一緒に設計します。
経営者・個人事業主・先進ITユーザーなど、Claude Codeをチームの一員として育てたいどなたでも歓迎です。
相談する※本記事は Anthropic 公式ドキュメント(Agent View / Agents / Sub-agents / Worktrees)に基づいて整理しています。初公開日: 2026-05-12 / 更新日: 2026-05-13。Agent View は Anthropic公式が 2026年5月11日 に research preview として公開した機能で、本記事はその翌日(5/12)に書き起こしました。当初 Masaya の環境(ターミナル多重化アプリ cmux)で起動コードが通らない症状があり一時非公開化していましたが、5/13 に cmux 自体をアップデートし直すことで Agent View が動作するのを再確認した上で、5/13追記版として再公開しています。導入・運用前は claude --version でバージョンを確認し、Claude Code 本体だけでなくターミナル多重化アプリ・ターミナルエミュレータ側も最新版にしてから動作確認することをおすすめします。最新の公式情報も合わせてご参照ください。