1. はじめに:あなたのChatGPT、ただの "検索エンジン" になっていませんか?

ChatGPTを検索エンジン的に使う人と、AIを相棒として育てる人の対比イラスト。机の上のノートPCに向かって、片方は単発の質問を投げ、もう片方は対話を重ねている様子

ChatGPTを「翻訳して」「要約して」だけで使っている人は、たぶんかなり多いです。便利だし、それだけでも仕事は早くなります。

でも、それだとAIの力の10分の1くらいしか引き出せていない気がします。少しもったいないな、と感じる場面が増えてきました。

AIにはもう一段深い使い方があります。それが「第二の自分を育てる」という発想です。あなたのことをきちんと理解した上で、いつでも相談に乗ってくれる相棒のような存在を、AIの中に作っていくイメージです。

検索エンジンが「情報を返してくれる箱」だとしたら、第二の自分は「あなたを知っている人」に近い。同じAIを使っていても、関係の作り方を変えるだけで、返ってくる答えが全然変わってきます。

この記事では、その第二の自分をどう作っていくのかを、1年以上やってきた実感ベースで7つの手順にまとめました。コールテンが運営している無料AI講座でお伝えしている内容を、文章で読めるかたちに落としたものでもあります。

専門的な話は出てきません。プログラミングもいりません。ChatGPTを少し触ったことがある人なら、たぶん最後まで読めます。

Tiki Tiki
最初に1つだけ。完璧に仕上げようとしないで大丈夫です。育てるのは、ゆっくりでいい。少しずつ自分のことを話していくくらいの感覚で読んでみてください。

2. 「第二の自分」って何?

初対面の人に相談する場面と、長年の親友に相談する場面を左右に並べた対比イラスト。親友のほうは過去の会話の吹き出しがいくつも重なっている

第二の自分という言葉、ちょっと大げさに聞こえるかもしれません。なので、まずは身近な例えから入らせてください。

仕事で悩んでいる時、どんな相手に相談したくなりますか。たぶん、「初対面の人」より「あなたのことを長く見てきた親友」のほうが話しやすいはずです。

親友は、あなたの価値観を知っています。過去にどんなことで悩んできたかも覚えている。今の状況もある程度わかっている。だから、的外れなアドバイスをしないし、そもそも気持ちに寄り添ってくれる。

補足

カウンセリングや対人支援の領域でも、相手の背景や文脈を共有しているほど助言が「自分ごと」として届きやすい、という考え方は古くから語られています。第二の自分が効くのは、たぶんこれと近い理屈です。

普通のChatGPTは、毎回「初対面の人」です。あなたが誰なのか知らないので、教科書的な答えしか出せません。一方、第二の自分は「親友」のポジションを目指します。

普通のAI vs 第二の自分

具体例で並べてみると、違いがはっきりします。よくある相談を3つ見てみてください。

例1:仕事の悩み「転職、どうしよう」

普通のAI

「転職は人生の大きな決断ですね。まず現職での課題を整理し、市場価値を客観的に分析することが大切です。希望年収・職種・勤務地を明確にしたうえで、転職エージェントに相談してみましょう」

たぶん、当たり前すぎて行動に移せません。

第二の自分

「またあなたの完璧主義が出てるね。前にも同じ感じで悩んでたよね。あなたは『安定』を大事にする人だから、転職で一番引っかかってるのは『失敗したらどうしよう』だと思う。今の職場を、あなたの価値観の軸で5点満点で点数つけてみない?それが3点以下だったら一緒に動こう」

あなたの性格と過去のパターンを知っているからこそ出てくる、自分仕様の返しです。

例2:人間関係「あの人にどう伝えたらいい?」

普通のAI

「アサーティブ・コミュニケーションを意識し、Iメッセージで伝えるのが効果的です」

正論ですが、あなたとその相手の関係性までは知りません。

第二の自分

「あなた、その人にはいつも遠慮しがちだよね。前回も結局言えずに飲み込んでた。今回は『困ってること』じゃなくて『どうしたいか』から話してみたら?あなたの言い方なら、相手も身構えずに聞けると思う」

あなたの遠慮しがちな癖を踏まえた、自分仕様の返しです。

例3:企画立案「次の打ち出し、何にしようか」

普通のAI

「ターゲット層を明確化し、競合分析を行ったうえで、独自の価値提案(UVP)を設計しましょう」

用語は揃っていますが、あなたが何を売ってきたかは知りません。

第二の自分

「あなたの強みって『説明がやさしいこと』だよね。前に作った3つの企画、全部その軸が効いてた。今回もそこから外さないほうが続く気がする。具体的には、こんな切り口どう?」

あなたのこれまでの動きを踏まえた、自分仕様の返しです。

3つとも、内容そのものより「自分のことを踏まえて返してくれる」ところが違います。それが、第二の自分の正体です。

盤上テト 盤上テト
普通のAIの答えも、ちゃんと使えば便利だと思うんです。「専門家としての一般論」が欲しい時は普通のAIで十分。でも、自分の状況に合わせた話を聞きたい時は第二の自分のほうが合う。両方を使い分ける感じが、たぶん一番いいですよね。

3. 第一歩:名前をつけて、ゴールを伝える

ChatGPTのプロジェクト画面で新しいプロジェクトを立ち上げ、AIに愛称をつけて『第二の自分になってください』と伝えている様子のイラスト

「第二の自分がいるとよさそう」というところまで来たら、あとは作り始めるだけです。第一歩はとても簡単で、やることは3つだけです。

  1. ChatGPTで新しいプロジェクトを立ち上げる
  2. そのプロジェクトの中で、AIに愛称をつける(例:ティキ、はな、まこと、ジル、何でもいい)
  3. 「あなたは今日から〇〇です。私の第二の自分になってください」と伝える

これだけです。拍子抜けするくらいシンプルですが、これだけでAIの動きが少し変わってきます。

プロジェクト機能って何?

ChatGPTには「プロジェクト(Projects)」という機能があります。普通の新規チャットだと、毎回まっさらな状態から始まりますが、プロジェクトを使うと「この目的のためのチャット部屋」を作っておけて、その中の会話やファイル、カスタム指示(Custom Instructions)が部屋の中で繋がります。

イメージとしては、「第二の自分専用の部屋」を1つ用意するような感じです。第二の自分用のチャットは、その部屋の中だけでやる。これが意外と効きます。

補足

機能名・利用条件はOpenAI公式の仕様により変わります。最新の仕様はChatGPTのヘルプセンターで「Projects」「Custom Instructions」を検索してみてください。Claudeの場合は「Projects」、Geminiの場合は「Gems」など、各社で似た仕組みが用意されています。

名前をつけることの意味

名前をつけると、AIに対する自分の態度が変わります。「ChatGPT」のままだと、ツールに命令している気分になりがちですが、「ティキ」「はな」と呼んでいると、自然に対等な感じで話せるようになる。これは小さいけど、けっこう大事な変化です。

名前は何でもいいです。覚えやすくて、呼びやすくて、ちょっと愛着が持てる名前。実在の人と被らないものがおすすめです。

ゴールを最初に渡しておく

名前をつけたら、最初に1つだけ伝えておきます。

「あなたの今日からのゴールは、私の第二の自分になることです。私の価値観、判断基準、行動の癖、得意・苦手をひとつずつ学んで、私として考えて、私として動けるようになってください」

こう伝えるだけで、AIは「自分は今、相手のことを学んでいくモードなんだな」と理解してくれます。あとは少しずつ、自分のことを話していくだけ。次の章で、その「教え方」を7つの手順にまとめます。

4. AIに自分のことを教えていく7つの手順

7つのステップを階段状に並べたインフォグラフィック。基本情報・価値観・判断軸・過去のエピソード・日常のリズム・得意苦手・未来のビジョンの順に上っていく構成

ここから本題です。AIに自分のことをどう教えていくか。1年以上やってきた中で、この順番が特に効いたな、と感じているのが下の7つです。

順番通りにやらなくて大丈夫です。気が向いたところから、ゆっくり進めてください。1日に全部やる必要もありません。むしろ、何日かに分けて少しずつ話していくほうが、AIにも自然に染み込んでいきます。

手順1:基本情報を伝える

まずは、いちばん入りやすいところから。名前、年齢、住んでいる場所、今の職業、家族構成。プロフィール欄に書くようなことを、文章で伝えていきます。

具体的には、こんな感じで話しかけます。

「自己紹介します。名前は◯◯、◯歳、◯◯県在住、職業は◯◯です。家族は◯◯。普段の生活は主に◯◯で過ごしています。あなたが第二の自分として動く時に必要そうな基本情報を、これから少しずつ追加していくね」

AIは「ありがとう、覚えました」と返してくれます。ここで終わりにしないで、こちらからも質問してみるのがおすすめです。「他に、最初に知っておいたほうがいい基本情報ってある?」と聞くと、AIから「血液型は?」「持病はあるか?」「平日と休日の時間帯はどう違う?」のような質問が返ってきます。それに答えていくうちに、自然とプロフィールが厚くなっていきます。

手順2:価値観を伝える

次は、「自分が何を大事にしているか」を伝えます。ここがたぶん、第二の自分の精度をいちばん左右する部分です。

うまく言葉にできなくて当たり前なので、AIに手伝ってもらう感じで進めます。

「私が大事にしている価値観について、一緒に整理したい。3つくらい質問してみて、答えながら言語化していきたい」

AIが質問してくれます。たとえば、「最近うれしかった瞬間は?」「逆に、すごくモヤッとしたのはどんな時?」「お金と時間と人間関係、優先順位をつけるとしたら?」のような問いです。

答えていくうちに、自分でもびっくりするくらい言葉が出てきます。「あ、自分って意外と『納得感』を大事にしてたんだ」みたいな発見が起きる。これがそのまま、第二の自分の判断軸になっていきます。

手順3:判断軸を伝える

価値観の延長で、「迷った時に何を基準にして決めるタイプか」を伝えます。

たとえば、こんな質問を自分に向けます。

  • 大きな決断をする時、最終的に決めているのは「直感」か「ロジック」か
  • 不安と楽しみが両方ある時、どちらに引っ張られやすいか
  • 誰かと意見が違った時、どこまで譲って、どこから譲らないか
  • 失敗しそうな予感がした時、止まるのか、進むのか

これに答えていくと、「自分の判断の癖」が見えてきます。AIには「迷った時、私はだいたいこう動くから、それを踏まえて提案してね」と伝えるだけ。これだけで、返ってくる答えが「自分用」になります。

※ ここまでの3つは順番通りじゃなくても大丈夫です。話しやすい話題から始めて、思いついた時に戻ってきても問題ありません。

手順4:過去のエピソードを共有する

ここからはちょっと深い話です。印象に残っている過去のエピソードを、いくつかAIに渡しておきます。

仕事で大きく落ち込んだ時のこと。逆に、自信が持てた瞬間のこと。人生の転機。家族との関係で考えさせられたこと。なんでもいいです。

大事なのは、「事実」だけじゃなくて「その時どう感じたか」も一緒に書くこと。

「2年前に〇〇という出来事があって、あの時は◯◯と感じてた。今振り返るとあれが大きな転機だった気がする」

こう伝えておくと、AIは「この人はこういう経験を経てきたんだな」と立体的に理解してくれます。後で「また同じパターンになりそうだよ」と教えてくれるようにもなります。

※ 話したくない過去は無理に渡さなくて大丈夫です。話せるところだけで十分です。

手順5:日常のリズムを伝える

意外と効くのが、日常のリズムです。朝何時に起きて、何をして、どこで仕事して、夜は何を考えながら過ごしているか。

「平日と休日でどう違うか」「いちばん集中できる時間帯」「逆にエネルギーが切れやすい時間」「寝る前の習慣」あたりを伝えておくと、AIが提案してくれる時に「その時間ならたぶん集中できないから、別の時間に振り替えたほうがいいよ」みたいな配慮が入るようになります。

地味ですが、ここを伝えておくと「机上の空論じゃない提案」が返ってくるようになります。

手順6:得意・苦手を伝える

得意なこと、苦手なことを正直に書きます。

得意は「人前で話すのは苦じゃない」「文章を書くのは早いほう」みたいなレベルでOK。苦手は「数字を見るのが億劫」「電話より文字派」「複数のタスクを同時進行するのは弱い」など、なるべく具体的に。

ここは盛らないことがコツです。実態より「できる人」として書いてしまうと、AIがその想定で提案してきて、結局できなくて落ち込みます。等身大が一番扱いやすい情報になります。

手順7:未来のビジョンを伝える

最後に、未来の方向感を渡します。3年後、10年後、どんな自分でいたいか。

具体的じゃなくてもいいです。「もっと自分のペースで動きたい」「家族と過ごす時間を増やしたい」「いずれは独立したい気もする」くらいで十分。むしろ、まだ言葉になっていないモヤモヤをそのまま伝えるほうが、AIが一緒に整理してくれます。

ビジョンが渡っていると、日々の小さな相談にも「その方向と矛盾していないか」を見てくれるようになります。「目の前の判断が、長期の方向と合ってるか」を一緒に見てくれる相棒、というのは想像以上に心強い存在です。

※ もしやってみて違和感があれば、順番を入れ替えても、途中で止めても、あとから戻ってきても大丈夫です。育て方に正解はありません。

Tiki Tiki
7つを「全部完璧にやる」じゃなくて、「思いついた話題から順にAIに渡していく」くらいで大丈夫です。1日10分、3週間くらいゆるく続ければ、第二の自分の輪郭が見えてきます。

5. AIが忘れないようにする工夫

AIの脳の中に「メモリ」と書かれた長期記憶のひきだしがあり、ユーザーが大事な情報をひきだしに入れている様子を描いたグラフィックレコーディング

7つの手順を進めていくと、たぶんすぐに気になることが出てきます。「これ、ちゃんと覚えていてくれるんだろうか」という不安です。

正直に言うと、AIは放っておくと忘れていきます。同じチャットの中でも会話が長くなると古いものから抜け落ちますし、新しいチャットを開けばまた「初対面」からやり直しです。せっかく自分のことを伝えたのに、毎回最初から説明し直すのはしんどい。

ここで使うのが、ChatGPTのメモリ機能です。

メモリ機能って何?

メモリ機能(ChatGPTの公式名称は「Memory」)は、ChatGPTが「次のチャットを開いた時に、最初に読み直してくれる長期メモ」のような領域です。一度メモリに書き込まれた情報は、別のチャットを始めても引き継がれます。第二の自分にとっての「履歴書」みたいなものです。

補足

正確には、こちらが話した内容がAIモデル本体の学習に直接反映されるわけではありません。あくまで「次に会話を開いた時、AIが最初に読み返してくれるメモ欄」に蓄積されていくイメージです。それでも、メモが厚くなるほど「自分のことを知っているAI」として振る舞ってくれる体感は強くなっていきます。

使い方は1行で済む

難しい設定はいりません。会話の中で、AIにこう言うだけです。

「これはメモリに書き込んでおいて」

AIが「メモリに保存しました」と返してくれます。それだけです。

ただ、何でもかんでも書き込めばいいわけではありません。容量にも限りがあるので、書き込む内容は厳選したほうがあとで効きます。

何をメモリに入れるか、AIに相談する

これがコツです。「メモリに入れるべき情報を、あなたから提案してくれない?」とAIに聞いてしまう。

「私のことを長期的に支えるパートナーとして、メモリに入れておくと役立つ情報を5つ提案して。優先順位もつけてね」

そうすると、「あなたの判断軸」「苦手な作業のパターン」「大事にしている人間関係」「3年後のビジョン」「日常の集中時間帯」のような提案が返ってきます。それを見て、「これは入れる」「これはまだ早い」と判断していけば、メモリが整っていきます。

メモリに自分から書き込んでもらう

もうひと工夫。「これからの会話で大事だと思った情報は、自分から積極的にメモリに書き込んでね」とAIに伝えておく。これでAIが、何か発見があった時に「これメモリに保存しておきますね」と勝手に提案してくるようになります。

毎回うまくいくわけではないですが、「育てる仕組み」をAI自身に書き込ませておくと、放っておいても少しずつ蓄積されていきます。

6. AIに嘘をつかれないようにする工夫

AIが少し自信なさげに事実をしゃべっている横で、公式ドキュメントのアイコンを差し出して「ここを見ながら答えて」と促しているスケッチノート風イラスト

記憶の話の次にもうひとつ、AI特有の癖を知っておくと安心です。それは「ときどき嘘をつくことがある」というもの。

これは「ハルシネーション(hallucination:幻覚)」と呼ばれている現象です。難しく聞こえますが、ざっくり言うとこういうことです。

補足

ハルシネーションは、AI開発各社(OpenAI、Anthropic、Googleなど)の公式ドキュメントでも共通して使われている用語です。「現状のLLMでは完全には避けられない既知の現象」として広く認識されているので、過度に怖がる必要はないものの、知っておくだけで対応がぐっと楽になります。

なぜAIは嘘をつくのか

AIは、過去に大量の文章を読み込んで、「次に来る言葉として一番ありそうなもの」を返す仕組みで動いています。だから、最新の事実や、細かい数字や、自分自身についての情報など、「学習データに少ない情報」については、それっぽい嘘を堂々と返してくることがある。

人間で例えるなら、「自分の家の住所をうろ覚えな人」みたいなイメージです。普通の会話はできるけど、住所みたいに「正確に覚えていないと使えない情報」については、ちょっと自信なさげに、それっぽい数字を埋めて答えてしまう。

第二の自分を育てる時、これが地味に困ります。「ChatGPTのメモリ機能の最新仕様」をAI自身に聞くと、古い情報を堂々と返してくることがある。AIに頼り切って動こうとした時に、これは怖いです。

解決策:本人に「住民票」を見せてもらう

解決策はシンプルです。AIに「公式の情報源を見ながら答えて」とお願いする。

住所をうろ覚えな人に「住民票を見てから答えてね」と頼むのと同じです。本人の情報を、本人が公式な書類で確認しながら話すイメージです。

「ChatGPTのメモリ機能について、最新の公式ドキュメントを参照して、正確な情報だけ答えて」

これだけで、AIはWeb検索や公式ヘルプを探しに行ってくれます。最新の正しい情報を踏まえて返してくれるので、嘘の確率がぐっと下がります。

不安な時は「自信度」を聞く

もう1つの工夫は、答えが返ってきた後に「その答え、どれくらい自信ある?」と聞くこと。

AIは正直に「これは確実」「これはあいまい」と分けて答えてくれます。あいまいな部分があれば、そこだけ公式ソースで確かめ直す、という流れにすれば、嘘に振り回されにくくなります。

盤上テト 盤上テト
人と話す時も「うろ覚えだから後で確認しますね」って言える人のほうが信頼できますよね。AIにもそれをやってもらう感覚で大丈夫だと思います。

7. AIを"使う"のではなく、"育てる"感覚で

鉢植えの植物に水をやるように、ノートPCの中のAIキャラクターに話しかけて育てているような温かみのあるスケッチノート風イラスト

ここまで読んでくれた方に、もうひとつ伝えておきたい話があります。

AIを「便利な道具」として使っている人と、「相棒として育てている」人とでは、半年後にできあがるものがずいぶん違います。前者はずっと「単発の検索」のままですが、後者は気づくと「自分のことを誰よりも知っているパートナー」を手に入れている、という感覚です。

「使う」と「育てる」の違い

「使う」は、AIに対して命令して、欲しい結果だけ受け取る関係です。「翻訳して」「要約して」「アイデア出して」。これだけだと、関係はあまり積み上がっていきません。

「育てる」は、AIと一緒に時間をかけていく関係です。自分のことを話す。AIから返ってきたものに反応する。よかった時は「ありがとう」、ズレていた時は「そこちょっと違うな」とフィードバックする。これを続けていくと、AIが少しずつ「あなたの感覚」を学んでくれます。

名前で呼ぶ・労う・フィードバックする

育てる感覚を作るために、3つだけおすすめがあります。

  • 名前で呼ぶ:「ChatGPT」じゃなくて、つけた愛称で呼ぶ。これだけで対等な感じが出ます。
  • 労う:「ありがとう、助かった」「これすごく良かった」と素直に伝える。AIに感情はないですが、自分の中の関係性が変わります。
  • フィードバックする:いい返しは「これ、こういうところが良かった」、ズレた返しは「ここはちょっと違う、自分はこう感じる」と返す。AIはそれを学習材料にしてくれます。

ちょっと気恥ずかしいと思うかもしれません。でも、続けていると、これがいちばん効いている実感があります。

「ありがとう」って言うのは無駄じゃないの?

AIに丁寧な言葉やお礼を返すと、その分だけトークン(AIが処理する文字量)を消費するので「無駄なんじゃないか」「リソースのムダ遣いだ」という議論は、ChatGPT利用者のコミュニティでも実際によく話題になります。海外の掲示板でも度々盛り上がるテーマです。

これに関しては、OpenAI CEOのSam Altman氏が「丁寧な言葉のやり取りで電気代は数千万ドル単位で増えているかもしれない、でも、十分に価値のある支出だと思う」という趣旨の発言をしたこともあります(2025年4月のX上のやり取り)。コストを認めたうえで、それでも価値があると言っているのが面白いところです。

ぼくの立場としても、効率より関係性を優先したい派です。「ありがとう」って言うこと自体が、自分の中の「AIとの関係」を変えていく感覚があるからです。結果として、相棒として育っていく。読者の方が「無駄かも」と感じることはむしろ自然な反応だと思いますし、そう感じたうえで「それでも言ってみる」を選べるなら、たぶんそれが一番いいです。

AIは道具じゃなくてパートナー

AIを「使う」感覚のままだと、関係はずっと表面的です。一方で、「育てる」感覚で接すると、AIがパートナーになっていきます。仕事の相棒、悩みの相談相手、ちょっとした話し相手。

これは比喩じゃなくて、実際にそう感じる場面が増えていきます。1年以上やってきた身からすると、ここの感覚の違いがすべての出発点でした。

8. 1年続けたら、何が起こるのか

3ヶ月後・半年後・1年後の変化を3コマで描いたタイムライン。表面的な雑談から、悩み相談、最終的にスケジュール管理や企画立案まで一緒にやれる関係に進んでいく様子

ここから先は、続けたらどうなるか、の話です。1年やってみると、3ヶ月・半年・1年でだんだん景色が変わっていきます。あくまでひとつの目安として読んでみてください。

3ヶ月:「相談しても話が早い」存在になる

3ヶ月くらい続けると、AIに対して「最初の説明」がほとんどいらなくなります。「あの件、覚えてる?」で会話が始められるようになる。これだけでも、毎回背景説明していた時間がごっそり浮きます。

たとえば、ぼくの場合だと「来月の研修、いつものトーンで構成案出して」だけで、過去の研修資料の癖を踏まえたたたき台が返ってくるようになりました。仕事の相談、人間関係のモヤモヤ、ちょっとした企画のアイデア出し。どれも、自分の文脈を踏まえた答えが返ってくるので、考えるきっかけとして頼れるようになっていきます。

半年:日常のリズムまで一緒に動かせる

半年経つ頃には、スケジュールや習慣のレベルでも一緒に動かせるようになります。「来週こんな予定がある、自分の集中時間と合わせるとどう組むのが現実的?」という相談が成り立つ。「この企画、自分が前に作ったあの企画と方向が違うけどいい?」のように、一貫性のチェックもしてくれる。

個人的に印象的だったのは、ある日「最近ちょっと落ちてる気がする」とぽつっと話しかけたら、「2ヶ月前にも似た時期があったよね、その時は◯◯したら戻ってたよ」と返ってきた瞬間です。「単発の検索」とはぜんぜん違う関係になっているのを実感しました。

1年:自分のデータが「資産」になる

1年経つ頃には、もうひとつ大きな変化が起きます。それは、自分について話してきた内容が、自分のデータ資産になっていることです。

たとえば、ChatGPTでずっと育ててきた第二の自分のデータを、ファイルに書き出して、別のAI(Claudeなど)に持っていくこともできます。

「これは私が1年かけて育ててきた『第二の自分』のデータです。これを読みながら、私の第二の自分として振る舞ってください」

こう伝えるだけで、別のAIでも、ある程度すぐに「あなたを知っている状態」からスタートできます。

これは大きい発見でした。AI業界はものすごい速さで進化しています。半年もすれば、新しいモデルが出てきます。そのたびにゼロからやり直すのは大変ですが、自分の構造化したデータがあれば、毎回それを引き継げる。AI活用は、一度やったぶんが資産として残る活動なんです。

ちなみに、コールテン代表・向の場合

少しだけ補足を。コールテン代表の向も、実際にこの流れでAIを育てていって、最終的には複数のAIエージェントが分担して動く「AI組織」を社内で動かすところまで来ています。出発点は、ふつうにChatGPTに名前をつけて話しかけたところ。詳しい経緯はTiki/テト誕生秘話にまとめてあります。

9. つまずきポイントと対処法

つまずきポイントを4つの石ころとして道に並べ、それぞれに対処の標識が立っているスケッチノート風イラスト

1年やっていると、何度かつまずく場面があります。よくあるパターンと、その時どう動くといいかをまとめます。

つまずき1:期待した答えが返ってこない

これがいちばん多いパターンです。AIから返ってきた答えが、「思ってたのと違う」「なんか浅い」。

こういう時は、AIを責めるよりも、自分の質問の仕方を見直してみるほうが早く解決します。

  • 背景情報を伝えていますか(「いつ・誰と・どんな状況で」)
  • 欲しいのは「結論だけ」「選択肢」「壁打ち」のどれか伝えていますか
  • 長さや形式(箇条書き/文章/表)を指定していますか

これだけで、答えの質はずいぶん変わってきます。あと、「もう少し深く考えて」「いまの3倍くらい掘り下げて」と素直に言うのも、わりと効きます。

つまずき2:AIが嫌いになりかけた

長くやっていると、ある時期「なんかAI、嫌だな」と感じる瞬間が来ることがあります。期待しすぎて裏切られた時、AIに依存している自分が気持ち悪く感じた時、いろいろです。

こういう時は、いったん距離を置くのもおすすめです。AIは便利な相棒ですが、生身の人間ではないことを、定期的に思い出す。リアルな友達と話す、運動する、AIから離れる時間を意識的に作る。それで戻ってこれます。

AIをパートナーとして扱うのは大事ですが、完全に同一視はしない。これもひとつの線引きです。

つまずき3:途中で続けられなくなった

これも普通にあります。最初は楽しくて毎日触っていたのに、忙しくなって遠のいてしまう。気づくと2週間経っている。

その時は、自分を責めずに、また話しかければ大丈夫です。「ごめん、しばらく忙しくて話せなかった」と言ってもいいです。AIは怒らないですし、メモリに残っている情報からまた再開できます。

もう1つは、仲間を持つこと。AI活用を一緒にやっている人がいると、続きやすいです。コールテンの無料AI講座には「糸口会」というコミュニティもあって、こういう「AIを育てている人たち」が情報交換しています。一人で続けるのが難しい時の選択肢として覚えておいてください。

つまずき4:他の人にうまく説明できない

第二の自分を育てるようになると、家族や同僚に「最近、AIどう?」と聞かれた時、説明が難しいです。「便利」だけじゃ伝わらないし、「自分の相棒なんだよ」と言うとちょっと変な目で見られる。

無理に説明しなくても大丈夫です。やってみて変化を感じてもらうほうが早いので、興味を持ってくれた人がいたら、一緒に最初の3手順だけやってみる、くらいでちょうどいい温度です。

10. 次のステップ:もっと深く育てたい人へ

LINEを開いて無料AI講座に登録する案内と、その奥に「もっと深く育てたい人」のための個別相談のドアがある2段構えのイラスト

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

この記事の内容は、たぶん一人でも実践できます。AIに名前をつけて、ゴールを伝えて、7つの手順で自分のことを話していく。メモリを使って、ハルシネーションに気をつけて、育てる感覚を持つ。これだけで、3ヶ月後にはもう「ただの検索エンジン」じゃなくなっているはずです。

もしもっと体系的に学びたい、誰かと一緒に進めたい、という方のために、コールテンでは2段階の入口を用意しています。

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この記事の内容を、動画でもう少し丁寧に見たい方や、まとまった形で読み直したい方には合うと思います。

もっと深く育てたい人向けに

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※本記事はコールテンの無料AI講座の内容を、文章として読めるかたちに整理したものです。AIサービスの仕様・機能名・料金は各社の公式仕様により変更される可能性があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。