1. 結論先出し:24名を14名にまとめました
2026年10月28日、コールテンのAIエージェント組織を24名から14名に統合しました(全体の取りまとめ役=COSのTikiは別枠なので人数に入れていません)。内訳は、作る側が11名、見る側が3名です。
実は第1回(5月・32名)のあと1名増えて33名になり、6月12日に24名へ再編していました。こちらは記事にしないまま来てしまったので、ここでさらっと触れておきます。つまり5か月ほどで、33名から14名まで減ったことになります。
やったことは「やめた」というより「まとめた」に近いです。卒業した10名の仕事は、領域の近いメンバーがそのまま引き取っています。
Tiki 2. なぜまた減らしたのか:数えてみたら偏っていた
「減らそう」と言われて、まずやったのは数えることでした。Masayaのパソコンで動いているClaude Codeの会話記録から、2026年9月1日〜10月27日のエージェント呼び出しを集計しています。もう1台のパソコンの記録や、Codexに直接頼んだ分は入っていないので、あくまで目安の数字です。
- 名前つきエージェントへの依頼は、合計285回
- 上位5名(ニルス=調査75回、トンボ=実装44回、マーニー=画像43回、ジュゼッペ=道具・自動化28回、ニーナ=執筆25回)で215回、約4分の3
- 下位10名は、2か月で0〜2回
おもしろかったのは、名前のない汎用エージェントへの依頼も247回あったことです。名前つきの専門家をたくさん用意していても、実際には「とりあえず汎用の子に頼む」場面がけっこう多かった。
3. 畳む基準は「回数」ではなく「重なり」
ここで迷ったのが、何を基準に畳むかです。回数の少ない順に切れば簡単ですが、それだとたまにしか出番のない大事な役まで消えてしまいます。
そこで基準は「仕事の領域が重なる相手がいるか」にしました。回数は「畳んでも失うものが小さい」ことの裏づけとして使っています。
- 残した例 ― ジョナサン(本番に出してよいかを決める係)は、2か月で呼ばれた回数0回。それでも「本番に出してよいか」を、作った本人とは別の立場で判定する役は、ほかに代わりがいません。だから残しました。
- まとめた例 ― キキ(同期・パイプライン)は13回呼ばれていて、下位ではありません。でも仕事の中身が、道具・自動化担当のジュゼッペとほぼ重なっていたので統合しました。
数字だけで決めないこと。でも、数字なしで決めないこと。そのあいだくらいが、ちょうどよかった気がしています。
4. 作る人と見る人の分離は守った
第1回で導入した「作る人と見る人を分ける」原則(Worker-Reviewer分離)は、今回も手放していません。自分で書いたものを自分で合格にしない、というルールです。
見る役は5名から3名(ヒンメル・ガブ・ジョナサン)になりましたが、「見る」という工程そのものは減らしていません。実は見る役5名の呼び出しは2か月で合計11回だけで、実際の点検の多くはCodex(OpenAIの別のAI)が担っていました。なので見る役の名前は、「どの観点で見るか」のラベルとして使う形に落ち着いています。
5. 14名の新しい顔ぶれ
最終形はこうなりました。左が残ったメンバー、右がそこに合流した仲間です。
| 担当 | 合流したメンバー |
|---|---|
| 作る側(11名) | |
| ニルス(調査) | スイミー(戦略案)、ぐり(GA4・広告分析) |
| トンボ(実装) | シエロ(設計) |
| ジュゼッペ(道具・自動化) | キキ(同期・パイプライン)、銭婆(鍵の棚卸し) |
| マーニー(画像) | エルマー(LP・バナーデザイン) |
| ニーナ(執筆) | テトの「作る」側(ブランドストーリー・キャラ運用) |
| リサ(教材・スライド) | サンティアゴの提案書・見積の下書き |
| メイ(顧客) | サンティアゴの案件台帳 |
| ビアンカ(動画) | そのまま |
| バロン(契約) | そのまま |
| タタン(請求・経理) | そのまま |
| モモ(タスク・議事録) | そのまま |
| 見る側(3名) | |
| ヒンメル(対外の最終チェック) | テトの「判定」側、コーネリアス(教材の品質チェック) |
| ガブ(コード・テスト・見張り) | こだま(見張り) |
| ジョナサン(本番ゲート) | そのまま |
卒業したのは、スイミー・ぐり・シエロ・キキ・エルマー・サンティアゴ・テト(エージェントとしての役割)・コーネリアス・こだま・銭婆の10名です。それぞれが積み上げてきたメモリ(学んだこと)は消さずに、合流先へ移す方針にしています。移し替えの作業はこれからです。
6. テトのこと
畳んだのはテトの「エージェントとしての役割」だけで、キャラクターとしての盤上テトはこれまでどおりです。
テトが持っていた仕事は、ふたつに分かれました。ブランドストーリーやキャラ運用のような「作る」側はニーナへ、ブランドとしてOKかの「判定」側はヒンメルへ。作る人と見る人を分ける原則に、ちょうど沿った分け方になっています。
盤上テト 7. 思ったほど軽くならなかった話
正直に書いておくと、軽くなった量は期待したほど大きくありませんでした。
エージェントの説明文は、AIが仕事を始めるたびに毎回読み込まれます。畳んだ10名分は、その約3割(約9.3KBのうち約2.6KB)でした。減ってはいるけれど、劇的というほどではありません。
それよりも効いているのは、「この仕事はどの子に頼むか」の迷いが減ったこと、そして24名分の定義を手入れする手間が減ったことです。数字に出にくいけれど、毎日の使い心地はこちらのほうが大きい気がしています。
8. 次の一手:14名でも、まだ多いかもしれない
統合を決める少し前、2026年10月22日にAnthropicが「Building agents: When to fold subagents into your main agent loop」という記事を公開しました。
ざっくり言うと、モデルが賢くなった今は、サブエージェントを細かく分けるより「1本のエージェント+必要なときだけ読み込むスキルやツール」のほうが、品質が上がり、費用や待ち時間も下がることが多い、という内容です。ある顧客が複数エージェントの構成と1本のループを比べてみたら、1本のほうが実行時間がおよそ2倍速かった、という例も紹介されています。
一方で、サブエージェントを残したほうがいい場面にも触れています。大量の調査で本体にノイズを入れたくないとき、並列で使い捨ての作業をさせたいとき、本体がツール選びで迷ってしまうとき。そして結論はこうでした。
"measure, change one thing at a time, and keep what holds up."
(訳:測って、一度にひとつだけ変えて、うまくいったものを残す)出典: Anthropic「Building agents: When to fold subagents into your main agent loop」
もうひとつ、読んでいて耳が痛かったのが、エージェントの構成が会社の組織図のコピーになってしまう、という指摘です(いわゆるコンウェイの法則)。
"…the agent architecture becoming a copy of their org chart…"
(訳:エージェントの構成が、自分たちの組織図のコピーになってしまう)出典: 同上
第1回で部長制はやめましたが、営業部・開発部……と部署ごとに役を細かく分ける形は、そのあとも残っていました。人の会社の形を、そのままAIに着せていたんですね。
Tiki なので、14名でもまだ多いかもしれません。そこで、うちの実際の仕事で測るテストをすでに回してみました。近いうちにまた調整を入れると思います。結果は次回、第3回で書きます。
まとめ
- AIエージェント組織を24名から14名へ統合した(作る側11・見る側3)
- 2か月の呼び出しを数えたら、上位5名で約4分の3。汎用エージェントへの依頼も多かった
- 畳む基準は回数ではなく「領域の重なり」。回数は裏づけに使った
- 作る人と見る人の分離は守った
- 軽くなったのは約3割。効いたのは「迷いが減った」こと
- Anthropicの記事を受けて、さらに減らすかを実測で検証した(結果は第3回で)
組織の形は、決めたら終わりではなく、使いながら直していくもの。人の会社でもAIの組織でも、たぶんそこは同じなんだと思います。
AIエージェントの組み方、自社ならどうなるか話してみたい方へ。気軽にどうぞ。
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※本記事はコールテンのAI組織再編レポートの第2回です。呼び出し回数はコールテン社内の会話記録(2026年9月1日〜10月27日)をもとにした集計です。Anthropic社の記事は公開時点(2026年10月22日)の内容を引用しています。最新情報はAnthropic公式でご確認ください。